信用取引の活用

投資基礎

信用取引とは

 信用取引は、株式やその他の金融商品を取引する際に、自分の資金だけでなく、証券会社から借りた資金や株式を利用して取引を行う手法です。この取引は「信用買い」と「信用売り(空売り)」の2つの基本的な形があります。

 信用買いは、証券会社から資金を借りて株式を購入する取引です。投資家は自分の手持ち資金以上(約2倍~3倍)の株式を購入できるため、相場が上昇した場合に大きな利益を得ることができます。ただし、株価が下がると損失も大きくなるリスクがあります。

 信用売り(空売り)は、証券会社から株式を借りて売却し、後で買い戻すことを前提に行う取引です。株価が下がれば安い価格で買い戻すことで利益を得ることができますが、株価が上昇すると損失が発生します。空売りは、相場が下がる局面で利益を得たい場合に有効です。

 

信用取引の活用方法

 以前からお話している通り、私個人としては株式の長期投資を推奨しており、これは将来的に株式は右肩上がりに上昇することが期待できるためです。短期目線での空売りはなかなか予測できるものではないため推奨しません。では信用取引をどのように活用するかと言えばレバレッジを掛けた信用買いです。レバレッジはリスクは上がるものの、資産拡大を加速させることできます。もちろん個人のリスク許容度にあったレバレッジ倍率で行うことが前提です。

信用取引のリスク

 過去の実績通りの相場が続くと仮定して、例えばS&P500に連動する商品を現物で買えば、投資資金に対して年利約10%の利益が得られます。同じ条件でレバレッジ2倍を掛けて運用するとどうなるかと言えば、投資資金に対して2倍のS&P500を運用するため、年利約20%となります。

 ではレバレッジを大きくすればするほどよいかと言えば単純にそうだとは言えません。信用買いは手持ち資金の約2倍~3倍の株式を購入できると前述しましたが、株価が値下がりして担保である投資資金が20%~30%以下になった場合(%は証券会社によって異なります)、追証(おいしょう)が発生し、追加で資金を用意する必要が発生します。もし期日までに資金が用意できなければ、株式が強制決済されます。それでも不足金が解消されない場合、信用取引の利用が停止されたり、最悪の場合、法的措置が取られる場合もありますので注意が必要です。

具体的な投資方法の提案

 前述したとおり信用取引はリスクがありますので、活用する場合はそのリスクに備える必要があります。その方法の一つとして、投資資金とは別に現金を用意して暴落に備えるというのもありますが、それであればその現金で現物購入すればよく、信用取引でレバレッジを掛けるメリットがあまりないと思います。

 私が信用取引を利用するのであれば、NASDAQ100などよりも値動きの小さいS&P500を1.2倍程度を限度にレバレッジを掛けて運用します。なぜ1.2倍かと言えば、リーマンショック級の暴落が起きても追証が発生しないラインだからです(保証金率20%を最低ラインとした場合)。リーマンショックの際、S&P500は約57%下落しました。もし仮に投資資金100に対して、レバレッジ比率1.2倍である120のS&P500を購入していた場合、120→51.6まで価値は下がりますが、下落後の保証金率は26.3%です。

(100ー(120-51.6))÷120×100=26.3% 【(投資資金ー損失額)÷取引額×100】

 この条件は信用買いした瞬間がリーマンショック前の最高値である極めて不運な場合を想定しているため、実際はもう少しレバレッジ比率を上げてもよいかもしれませんが、リーマンショック以上の暴落が起きる可能性があることも念頭に入れなければなりません。

 また、S&P500よりもさらに値動きが小さい債券に連動した商品にレバレッジを掛けるのもありだと思います。皆さんのリスク許容度に合わせて考えてみてください。

※信用取引には制度信用と一般信用があります。今回紹介したものは、長期運用を前提にお話しをしているため、返済期限のない一般信用を選択する必要があります。

※信用取引には手数料(取引手数料や金利)が発生します。料金は証券会社によって異なりますのでよくご確認の上ご利用ください。(信用取引を行う上での私のおすすめ証券会社は金利が低い野村證券です。このあたりのお話はまた別の機会にできたらと思います。)

 

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